プライバシーに配慮したAEDの使用方法について
AEDとは?
「Automated External Defibrillator」の頭文字をとったもので、和名では「自動体外式除細動器」と言います。
心臓がけいれん状態(心室細動)となり、ポンプ機能を失った場合に電気ショックを与え、けいれんを取り除くための医療器具です。
平成16年7月より、医療従事者でない一般市民でも使用できるようになりました。
早期電気ショックの重要性
突然の心停止は、心臓の筋肉がけいれんを起こし細かくふるえる「心室細動」によって生じることが多く、この場合、心臓の動きを戻すには電気ショックによる「除細動」が必要になります。突然の心停止から電気ショック実施までにかかる時間が、傷病者の生死を決定するもっとも重要な因子となります。
令和4年版「救急・救助の現況」(総務省消防庁)によると、市民等により目撃された突然の心停止のうち、救急隊が電気ショックを実施した場合の1ヵ月後社会復帰率は17.3%であったのに対し、市民等が電気ショックを実施した場合は40.1%でした。市民等が電気ショックを実施した場合の方が社会復帰率が高いのは、救急隊の到着前にAEDを用いることで、より速く電気ショックが実施できたためだと考えられます。
しかし、AEDを用いた電気ショックだけでは、止まった心臓を正常なリズムに戻すことはできません。心室細動からの救命には、AEDを用いた電気ショックと、絶え間ない胸骨圧迫が重要です。

プライバシーに配慮したAEDの使用方法
令和元年5月に、京都大学等の研究グループから、次のような報告がなされました。
全国の学校内で心停止となった子ども232人について、救急隊が到着する前にAEDのパッドが装着されたかどうか調べたところ、小学生と中学生では男女に有意な差はありませんでしたが、高校生では女性に対してAEDパッドを貼られる割合が男性と比較して大きく減少していることが明らかとなっていました。
研究グループによると、女性の服を脱がせることへの抵抗感から、AEDの使用率に男女差が生じているのではないかと分析されました。
AEDパッドは素肌に装着する必要がありますが、服をすべて脱がせる必要はなく下着をずらして貼付したり、服の裾や襟元からAEDパッドを差し入れて貼付することも可能です。また、AEDパッドを貼付した上から服などをかけて素肌を隠すようにしても、AEDの機能に影響はありません。
もっとも重要なのは、心停止を疑ったら1分1秒でも速く胸骨圧迫を行うこと。1分1秒でも速くAEDパッドを貼付し、心室細動に対する電気ショックを行うことです。

画像提供:東京都多摩府中保健所