ページの本文です。
更新日付:2023年9月25日 / ページ番号:C074391
発掘調査の最新の様子をご紹介します。
令和5年度の発掘調査は、昨年度に調査した2カ所の調査区のうち、南側調査区のさらに西側、谷を下った部分で実施していきます。
いよいよ本格的に泥炭層遺跡の発掘が始まり、さらなる調査成果が期待されます。本調査は、考古学をはじめとする各分野の専門家からのご協力を仰ぎ、今年度と来年度の2ヵ年計画で推進していきます。
↓ ↓ ↓ ↓ 直近の真福寺貝塚の様子です!随時更新予定
以前から行っていた、木材の取り上げ作業が完了しました。18リットルの平箱10箱以上、大きめの水槽1個分の木材を取り上げました(下写真(左))。
同時並行で、調査区南側の土層堆積を確認するため、畔のように残していた部分を掘り下げ始めました。その際、3m間隔で柱状に掘り残し、土壌サンプルを採取しています(下写真(右))。土壌サンプルは、15cm四方で土層ごとに切り取って、採取した地点と層位をメモしながら取り上げました。
採取した土壌サンプルは、自然科学分析を行う予定です。その土壌に含まれる炭素(放射性同位体)から年代測定をしたり 、土壌に残っている花粉や植物遺体を調べて、当時の植生を分析したりします。
遺跡の成り立ちや古環境を知るために、非常に重要な情報です。 土層堆積を維持したまま、慎重に取り上げます。
また、斜面の上の方をさらに掘り下げたところ、泥炭層の最上層から、古墳時代後期から奈良時代頃の土師器(坏)が出土しました(下写真)。残念ながら割れてしまっていますが、破片を接合すればほぼ完全なかたちで復元できそうです。一番新しい段階の泥炭層の年代について、考古学的な手がかりになるでしょう。
まだまだ遺物が少ない層なので、この土師器をどのように評価するか、慎重な検討を要するところです。しかし、仮にこの遺物が使われた時期と土層の形成時期が、それほど前後しないとするならば、泥炭層最上層はどんなに古く見積もっても、古代をさかのぼることはないと考えられます。
お盆明け、先日の台風の影響で、なんと調査区の覆い屋が破損してしまいました!
これを機に、覆い屋の脚を立てるため掘削できなかった部分を除去し、調査区内をきれいにしました。下のビフォーアフターをご覧ください。土の塊がなくなって、調査の障害がなくなりました。
⇒ ⇒ ⇒
ちなみに脚は調査区の外に組みなおして、覆い屋を復活させました。
現在調査している層は、お盆前に調査していた層の直下にあたる層です。この層も植物繊維を含む草本泥炭層ですが、上層よりも大型の木材が出土するようになりました(下写真(左))。木材は出土位置を記録したのち、1点1点取り上げていきます。非常にもろく、手に取ると割れてしまうので、取り上げ直後すぐに水で洗い、パズルのように組み立てて原形に戻し、大きさを測りました(下写真(中・右))。いずれも加工の痕跡は見当たらず、自然木であると考えられます。
調査区の谷側では、現地表面から深度100cm以上になりました(下写真(左))。これ以上の深さになると、壁面の崩落が懸念されるので、安全性を考慮して、段差を付けつつ掘削を進めます(下写真(右))。発掘調査の原則では、土層の堆積状況を記録するため、壁を垂直に落とすことが重要ですが、安全にはかえられません。
屋根の足を立てている面が、6月の調査開始時点の高さです。2か月ほどでだいぶ掘り下がりました。
下の3枚の写真をご覧ください。現在調査している層では、直径5~8cmほどの太さをもつ木材が出土するようになりました。中には直径20cmほどの太い木材も見つかっています。いずれも加工の痕跡は確認できないので、自然の木であると考えられます。
この層にも植物繊維がよく含まれており、草本主体の泥炭層であるという点については、これまで掘り上げてきた層と同じです。ただし、この層から大型の木材を伴うようになり、下層は木本主体の泥炭層へ移り変わっていくと考えられます。
厳密には遺物ではありませんが、1点1点の位置情報の記録をとりつつ取り上げる予定です。
7月13日、追加した調査区南側トレンチを、東側(台地側)へ2m伸ばしました(下写真(左))。
斜面の上の方では、現地表面から10~20cmほどで縄文時代の遺物包含層が露出しました。この土層は西側(谷側)に向かって落ち込んでおり、その上に草本泥炭層が堆積している状況です(下写真(右))。土器の小破片のほか、焼けた動物骨が多く出土しています。
手前の浅いところが拡張部分です。
向かって右側へ、縄文時代の遺物包含層が傾斜しています。
調査区南側半分は、先行して深掘りしているトレンチ部分を除き、現地表面から50~60cmほど全体的に掘り下がりました(下写真(左))。
現在は、植物繊維を多く含む黒色土層(草本泥炭層)を調査しています。7月7日時点で、排水ポンプを設置していた面と同じ層です(下写真(中))。この層を掘りぬくには、まだまだ時間がかかりそうな見通しです。
この層は遺物が非常に少ないのですが、内外面に煤や炭化物が付着した土器片や、トチノミが出土しています(下写真(右))。このような土器片は、年代測定や脂質分析をおこなうことができる可能性があります。非常に重要な資料です。
遺物は少ないですが、着実に成果は上がっています。今後の報告にも乞うご期待!
調査を開始して、早1か月が経とうとしています。
調査区内は地下から湧き出る水で常に水浸しです。先行して深掘りしている調査区中央のトレンチ(調査坑)からは、とめどなく水があふれています。この地下水を少しでも逃がすことと、土層堆積を確認することを目的に、流路の下流にあたる調査区南寄りに、もう1本トレンチを入れることにしました。下の写真は7月4日当時の状況です。向かって左の深掘り部分が、新しく入れたトレンチになります。
そういえば調査開始当初から、ブルーシートで日よけ・雨よけの覆い屋を設けています。これで真夏の直射日光はある程度遮断できますね。酷暑はどうにもなりませんが…。こまめに水分補給と小休憩をはさんで、なんとか夏の暑さをのり切ります!
また、足元の状態がきわめて悪いので、足場板を渡して通路を確保しています。掘削のためにかなりの土量が排出されており(写真中央手前の山)、それらをすべて人力で運び出す必要があるのです。安全第一ゼッタイ!
本日までに、調査区中央のトレンチから南側トレンチにかけての範囲を、深さ30~50cmほど面的に掘り下げました。下の写真(左)の土層断面をご覧ください。土層ごとの境界に線を引いて、その堆積状況を確認しています。精査してみると、泥炭層はまだ少し下のほうにありました。
一番上に堆積している比較的明るい色の層は、近世の磁器を含む表土層です。その下には黒っぽい褐色土層があり、続いて真っ黒な黒色土層が堆積しています。この黒色土層は全体的に繊維質で、土をほぐしてみると多量の繊維が入り込んでおり、表面は毛羽立っています。この繊維は植物由来のもので、だいぶ分解・土壌化が進んでいますが、そのさらに下の層は植物のかたちをはっきりと残した状態で、土と混ざり合って堆積しています(下写真(右))。この層が出ている面は、排水ポンプを設置するために深掘りしたほんの一部分のみです。当分はこの面の検出を目指して、調査を進めていきます。
現在の調査面にあたる黒色土層は草本泥炭層といい、層位的には泥炭層の最新段階にあたります。年代はせいぜい中世程度までしか遡れませんが、とうとう泥炭層に到達することができました。
泥炭層とご対面。ただ、縄文時代の層はこれよりもっと下になります。先は長いです。
右の写真では、植物の葉っぱがあることが見てとれます。この植物が何かはまだはっきりわかりませんが、おそらく水生植物の一種なのでしょう。付近が湿地帯であったという、何よりの証左になりますね。
今は黒色土層の上面まで掘り進めています。
出土する土器は、表土から出てくるような摩耗した小さな破片が少なくなり、あまり摩滅のない大きめの破片もみられるようになりました。縄文時代晩期中頃の安行3c~3d式の土器を確認しています(下写真)。
文様がしっかり残ってます。先日の表土剥ぎで出土したものより状態がいいですね。
本日より令和5年度の調査を開始しました!台風の影響もあり、当初の予定より1週間ほどズレ込んでしまいましたが、遅れを取り戻せるよう調査メンバー総力をあげて取り組んでまいります。
まずは泥炭層を覆っている表土を、重機を使って除去していきます。
表土を1mほど下げたところ、一部で黒色の泥炭層が顔を出しました。泥炭層の中には大型材が集中する地点があり、未加工のトチノミやクルミもみられます(写真左の右上)。出土土器は、縄文後期の終わりから晩期の始めにかけての土器(約3000~2900年前)を主体としており(写真中)、中には古代(約1000年前)の土師器の小片も混じっています。出土した破片の多くは、小さく摩耗したものです。耕作による土壌の撹拌によるものでしょう。
大まかな表土の除去が完了した後は、調査区中央にトレンチを設定して(写真右)、下層の堆積を確認しながら分層発掘を進めていきます。
今後も最新の成果を公開していきます!お楽しみに。
前日に、発掘器材や遺物を管理・収納したり、現場での事務作業をおこなったりするためのコンテナを設置しており、本日そこへすべての器材や設備を搬入し、発掘調査の準備を完了させました。
この日は朝からひどい雨に見舞われており、地面はぬかるみ冠水してしまったところもあるほどです。そんな中、業者の方々には無理を言って作業をお願いしてしまいましたが、おかげさまで調査開始に向けての準備が整いました。本当にありがとうございました&お疲れさまでした。
以下、作業風景をご覧ください。
【コンテナ設置】
今回は3棟1組のコンテナを計4組12棟用意しました。ここでは主に発掘器材や出土した遺物の管理・収納と、簡単な事務作業をおこないます。特に遺物管理棟は多めに設けており、出土するであろう貴重な有機質資料の保管に適した設備を用意する予定です。
【器材搬入】
降りしきる雨の中、作業を決行。発掘調査の準備は完了しましたが、浸水・冠水で地面が最悪のコンディションに。通常でも湧水との戦いである泥炭層遺跡の調査です。来週に予定していた表土剥ぎの作業は難しいかも…
谷底に近い調査区西側は特に冠水がひどいです。本来なら掘削を開始した時点で使い始める予定であった排水ポンプを使って、調査区内の水を排出していきます。
先日、伸び放題になっていた雑草の除去作業が完了しました!見通しもよく快適な現場環境です。これで現場設備や発掘器材の搬入に取り掛かることができます。作業してくださった業者の皆さま、ありがとうございました!!
今日は、本格的な掘削が始まる前に、調査区内の高低差を記録しました。
今年度の調査区は、西に向かって全体的に下がっています。ここはちょうど旧地形の谷部にあたるところで、西に向かって下るほど水が染み出ています。谷底に近い部分では小さな池ができるほどです。掘削を進めると、とめどなく水があふれてくるでしょう。そのため昨年度、調査区周囲に矢板を打ち込んで、掘削が入る範囲を厳重に養生しました。
レベルという測量器材を用いて、全体の高低差を測ったところ、調査区内の高いところから低いところにかけて、大体60cm前後の比高があることがわかりました。ただし、縄文時代の地表はもっと深くなり、高低差もあったはずです。詳細は今年度の調査で明らかにしていきます!
今日は、トレンチを入れる場所の設定と、 調査区内の測量・計測の基準とする地点の設定を行うべく、現地に赴きました。
新緑の季節を迎え、青々とした草本が遺跡全体を覆っています。今年度発掘をおこなう予定の調査区とその付近は、すべて除草しなければなりません。ここ2、3週間で一気に成長したのか、職員の膝丈ほどまで生い茂り、昨年11月に封鎖してからずっと手つかずになっていた調査区周辺は、高さ2mを超えるほど雑草が伸び放題になっていました。6月の調査開始までに何とかしなければならないのですが……なかなか骨が折れそうです。
調査区正面(左)と調査区内(右)。職員の身長を優に超す高さ!
今日は5月中旬ながら気温28度の夏日。早々に作業を終えて帰庁しました。
6月の調査開始に向けて、引き続き準備を進めてまいります!
発掘調査期間中に、遺跡の姿を直接ご覧いただくために、現地見学会を開催しています。
令和5年度の見学会は、日程が決まり次第お知らせいたします。
教育委員会事務局/生涯学習部/文化財保護課
電話番号:048-829-1723 ファックス:048-829-1989
表示モード : パソコン版スマートフォンサイト